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「前回の魔法定期試験、また発現出来なかったんだろ?」
「……うん」
秋人の言葉に僕は弱々しく頷くことしか出来なかった。
秋人くんの言う〝魔法定期試験〟とは、己の魔力を用いて、今現在出来うる最大の魔法を発現してみせるという、至ってシンプルな試験のこと。
しかし弱々しくしか頷けない僕は、その定期試験で満足に魔法が発現出来なかったのだ。いや、〝また〟と言う言葉から想像するに難しくはないと思うが、以前にも同じことがあったのだ。
「ヒカルさー、魔法学の単位……いくつ?」
「……ぜろ、かな?」
僕は再び小さな声で呟いた。下手したら秋人くんも聞き取れないくらい、小さく。
なんせ、僕こと曽根川ヒカルは、この上之宮魔法学園に入学して以来、一度も魔法を発現したことがないのだ。否、魔法を発現することが出来なかったのだから。
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