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「何でかなー……」
「何でって、それはあれしかないだろ?」
秋人くんの言う、あれ。
あれこそ人類の力、人類の活力、そして人類の源泉。なくしてはならない人を形成する原点である、とこの間先生が熱弁を振るっていた。そう、それは――
「――恋、か」
「ああ、恋だな」
魔法のエネルギー源となる魔力。それは人が恋する想いを媒体とし、魔法を発現する魔力に変換される。よって、恋に焦がれる気持ちが大きければ大きいほど、術士の魔力は強くなるらしい。
即ち、魔法を発現出来ない、つまり魔力を持たない僕は――
「したことないのか? 恋」
「うん。一度も」
――恋が分からなかった。
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