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「そんなこと言われても……僕は秋人くんみたいに容姿が良い訳でもないし、背も小さいし……」
自ら言いながら悲しくなって来た。再び自分の言葉が窄んでいくのが手に取るように分かる。そんな僕の惨めな体裁を見ながら秋人くんは浅く息を吐いた。それは呆れから来るのか、はたまた疲労から来るかは僕には分からないけど。
「そうでもないぜ? 少しは自信を持ってもいいと思うんだが……」
そう言いながら秋人くんは視線を廊下に向けた。僕も釣られてそちらに視線を向けると、廊下には数人の女子生徒がこちらを見ながらきゃーきゃーと黄色い声を上げ始める。
相も変わらず秋人くんの人気は衰えるところを知らないらしい。特定の恋人をまだ作らない秋人くんの彼女の座を狙い、彼女達は日夜奮闘しているという訳だ。ある意味尊敬してしまう。
「凄いね、秋人くんファン」
僕がそう言うと秋人くんは深く溜め息をついた。
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