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「あ?なーんか騒がしいな。喧嘩か?なんだなんだ、俺も混ぜろよっ」
住宅街と表現していいものかと悩まれる場所を走り、喧騒の聞こえた通路へとたどり着く。
其処には見慣れない服を着た体躯のいい男達と、少し細身の男が立っていた。
細身の男を囲むように立つ体躯のいい男達を見て、リンチか?と瞬時に判断する。
そして、近くの露天から暖簾に使用していた竿を勝手に拝借すると、その竿で一番近くにいた男をなぎ倒す。
「うわっ!?なんだ!」
「な、何だ貴様!いきなり何をする!」
男達は焦ったように表情を変え、だが殺気をむき出しに飛び掛ってきた。
が、それもリズム良くなぎ倒し、細身の男を囲っていたものたちを全てなぎ倒せば、当の被害者である細身の男は不服そうな顔をしていた。
「で?なんで絡まれてたんだ?」
「お前に答える必要はない。大体、俺は自分で何とかできたんだ、要らんおせっかいだ。」
「わーお。美人な顔して言うことキツイのな、でもよ、こういうときは素直に有難うって言うべきだぜオニーサン」
「しるか」
ふん、と顔を背けた男の容姿は、ふわりとした藍色の癖毛に襟足は2つに分かれ腰下まで伸びており、少したれ目気味だが黒曜石のように美しい瞳がそれを感じさせない。
すらりと伸びた西洋じみた高い鼻にふっくらとした桜色の唇。薄っすらと染まった赤い頬は白い彼の肌に生えていた。
同じ男だとは分かってはいたが、それでも見惚れてしまう容姿をしていた。
「じろじろみるな、気色悪い」
「ああ、悪いな。ここらじゃめったに見れない別嬪さんだと思って。それにさ、」
言葉をいったん区切ると、ふっと笑みを浮かべた。
「あんたのその目、すげー綺麗だと思って。」
黒曜石みたいだ、と言えば、目の前の男は途端顔を真っ赤にさせてどもり始めた。
「な、何、何だ…っえ?え、何言ってんだお前、は、恥ずかしい…奴だな…」
「ぶはっ!どもりすぎだよお前」
「おっ、お前のせいだろう!」
「本当のこと言っただけじゃねーか。つんけんしてるかと思えば可愛いな」
「恥ずかしい台詞をぽんぽん言うな!」
くそっと手の甲で口元を押さえながら、男はきっと目を鋭くして睨んできた。
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