Prologue

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鳴り響く機械音はまるで人をやんわりと拒絶するような不快な音をだしている。 ここは…夢? 暗い室内に無数に蔓延るサーバーの配線がこの場を異質な場所だと教えてくれる。 ここはいったい…。 不快な機械音が鳴り止まない。 なんだよこの音。 頭が……割れそうだ。 機械音は耳をつんざき頭の中を侵食していく。 「うぅ……う…」 頭を押さえ、その場に崩れ落ちる。 頭の中に響き続ける機械音で頭がおかしくなりそうだ。 止めろ……止めてくれ! そう願った時、頭に響く機械音が鳴り止み、聞き覚えのある人の声が聞こえてきた。 「なに頭抱えて悶えてるんだよ。大河?」 聞き覚えのある声……いや、聞き覚えがあるというより俺がいつも発している声。 俺の声が聞こえる。 「だれ…だ…」 頭痛の止まない頭を押さえ何とか言葉を発する。 誰と分かっていてもその声、存在に不思議さを抱かずにはいられなかった。 「俺?俺はお前だよ大河ぁ」 「ここは…どこだ」 「ここはどこかって?あははははっ。そんな事も知らないで自分を今の今までやってたのかよ」 その声の言っている事が理解出来ず、戸惑う。 自分を今の今まで? なんの事だよ…こんな場所知る訳ないだろ! 不意に足音が近づいている事に気付く。 「そろそろ交代、したいんだけど…いいだろ?なぁ、大河」 暗闇に目が馴れ近づいて来た正体の姿を見て俺は絶句した。 近づいて来た奴は… 俺だった。
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