第一章:海の向こうへ

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史学を学んで二年、自分なんかと思っていたわたしは将来は歴史学者になるのも悪くないな、と思い始めた頃だった。 何がきっかけか――思い当たる節は全くないのだが、毎晩懲りずに同じ夢を見続けた。 5日ばかり続くとさすがに懲りてきて、医学部の友人にそれの話したが、「何か思い当たる節は全くないのか。」と聞かれ、全くないと返すと「そのうち脳も飽きるだろう。」と笑って返された。 友人からすればそんなに深刻に考えるなよと気を使ってくれたのだが、何が気にくわなかったのか、酷く良いようもない気持ちになった。  
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