Ⅰ. 荒波が知らせた出会い

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翌日、その日の天気は快晴だった。 「嵐の後の静けさ」とは、このようなものだろう。 物が散乱する港を歩く青木。 偶然、釣りをしている日野 恵(ひの めぐみ)を見かけた。 「恵くん。今日も釣り?」 青木が訊くが、恵は答えない。 「……ねぇ」 何も答えない恵。 『相変わらず取っ付きにくい性格だな。洋子と同じく』 青木はそう思った。 青木の心を読み取ったのか、恵はようやく口を開く。 「日課……」 「……そ、そう」 『やはり取っ付きにくいな……』と思いながら家に帰る青木。 もうじき学校に行かないといけないからだ。
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