Ⅰ. 荒波が知らせた出会い

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「おーい。借金親父の息子さんよー」 「コーヒー飲みに来たよー」 「……あまったるい紅茶一つ」 「ん?」 小さい頃から島暮らしの九十九 一(つくも はじめ)と唐草 媛(からくさ ひめ)に他方から引っ越してきた日野 洋子(ひの ようこ)のトリオがいつの間にか喫茶店に入っていた。 相変わらず行動が読めない。 「一。『借金親父の息子』って呼ぶなと言っただろ……」 笑いながら謝る一。 反省の色がない。 「媛。コーヒーはどうする?」 「うーん……砂糖二杯入れたブラックで」 媛はニコニコと応える。 「洋子……糖分取り過ぎは気を付けた方が……」 「砂糖。媛の五倍で」 「いつか糖尿になるよ」 そう言っても洋子は相変わらず甘めの紅茶を頼む。
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