Ⅰ. 荒波が知らせた出会い

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店を閉める時間帯に島の長老がやってきた。 「あ。こんばんは」 「こんばんは。青木君」 仏のような笑顔の長老。 「何を飲みますか?」 「牛乳あるかい?」 青木は了承し、牛乳をコップに注ぎ、長老に差し出した。 「あれから五年近くたったな」 「そうですね」 青木はそう言いながら、片付けを始める。 長老は牛乳を一口飲む。 「そういえば、お母さんの顔を知ってるかい?」 「はい、覚えてますね。子供らしい母親でしたね」 「そうか……」 一つ間を置き、応える。 「親子がいなくなっても、近くにいるんだ」 長老の呟きに青木は訊いた。 「何のことです?」 「後にわかるよ」 長老は牛乳を飲み干し、応える。
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