困惑

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冷え切った彩の体を 温めるように抱きしめる。 彩の匂いと雨の匂い 両方の匂いがした。 涼「彩…好き」 彩「涼…」 涼「俺を好きになって…」 耳元で囁くと 彩はピクンと反応する。 弱点が耳なのを知ってて わざとやった。 彩「両方傷つけたくない…」 涼「彩が好きな方を選んで欲しいんだ。両方傷つけないことなんて最終的にできないよ」 彩「…」 彩がどちらを選ぶかなんて 誰にもわからない 優だってわからないんだ。 きっと優だって 俺と同じくらい不安なんだ。 震えてる彩の肩を見て 俺も悲しい気持ちになった。 ごめん…と心で呟いて 彩を抱きしめ続ける。 涼「彩こっち見て」 彩「や…だ」 涼「こっち見ろ」 命令口調で言うと ゆっくり俺の方を向いた。 泣き顔の彩が俺を見る。 彩「あたし…」 涼「何?」 彩「好き…。涼のこと。忘れられないよ。だけど…優の優しさにも惹かれてきてて…最低でごめんなさい。ごめんなさい」
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