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「うぁ…」
しまった、ファンクラブの子たちに意外と時間をくっていたみたいだ。
と言っても、どうせ最初から生徒会室に用なんかなかったんだけどね。
「もうすぐ予鈴鳴ると思うけど…」
愛莉が可愛らしく小首を傾げると、ちょうどよくチャイムの音が校舎に響き渡った。
キーンコーンカーンコーン…
「ほらね?一緒に教室行く?」
愛莉は顔の横で人差し指を立ててにっこりと笑った。
「うん、行く」
面倒に巻き込まれた上に結局無駄足か…。
ついてないな…、やっぱり貴臣のそばから離れると良いことないんだって、あたしへのお告げのつもり?
そんなの知らないわ。
「そういえば、愛莉はなんで生徒会室にいたの?」
2人でしゃべりながら、教室までの道のりを歩き出す。
「んーとね、今度の生徒総会に使う資料の整理。ヒナくんと2人でやってたの」
「えっ、呼んでくれれば良かったのに…」
「だってホタルを呼んだらタカくんまで来ちゃうでしょ?
ただでさえいっつも勝手にあたしたちの仕事やってくれてるのに、手伝わせられないよ」
なんか…偽善の匂いがする。
っていうか相当うさん臭い。
「この間は、有能な奴はガンガン使ってやればいいって言ってたくせに。
貴臣に黙って何やってたの?陽向先輩まで巻き込んで…」
あたしは彼女に不信の目を向けた。
愛莉のことだから、何を企んでいるかわからない。
「あははっ、別に何も悪いことしてないよぉ!」
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