12/30
前へ
/619ページ
次へ
  あたしは階段をひとつ上がって、自分の教室に向かった。 そうそう、うっかり失念してたけど、愛莉はあたしたちより1学年上の2年生だ。 すっかりタメ口が自然になってしまったから意識しないと忘れてしまうけど、さっき別れたのがあたしより1つ下の階だったのは、学年が違うからだ。 1年生は5階、2年生は4階、3年生は3階に教室があり、2階にはゼミ室が並び、1階には職員室がある。 これが1号館、通称クラス棟と呼ばれている。 それと各階の渡り廊下で繋がった2号館は、理科室や図書室、あたしたちが使う生徒会室などがある特別教室棟。 さっきまでいたカフェテリアはここの1階で、建物には体育館が隣接している。 さらにその隣にある3号館は、部室棟になっている。 この各棟はコの字型に並んでいて、さらにグラウンドやテニスコート、中庭を挟んで向かい側にほぼ同じ造りの中等部の校舎がある。 うちの学園は中高一貫教育ってやつ。 つまり何が言いたいかっていうと、この学園の敷地は馬鹿みたいに広いのだ。 高等部の校舎だけでも全ての廊下を通って1周してみろと言われたら、たぶん走っても15分じゃ済まない。 生徒会室からあたしの教室までも、けっこう遠いのだから大変だ。 どこにいようともひとり歩きは危険だから、それなりに警戒しながら歩く。 教室にあたしがいないから、貴臣はきっと心配してるだろうな…。 そういえば、なんでイライラしてたんだっけ? 発端は…。  
/619ページ

最初のコメントを投稿しよう!

436人が本棚に入れています
本棚に追加