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「ぎゃっ…!」
「こいつっ!」
驚いた相手は悲鳴を上げて掴んだ手を引っ込めるけど、すぐに仲間が参戦してくる。
がむしゃらな攻撃に、あたしは冷静にひとつひとつ対処していく。
殴りかかってくる手は腕で跳ね返し、蹴りかかってくる足の反対の足を払って転ばせる。
次の正拳突きは自慢の動体視力で交わし、伸びてきた拳を引っ張って自分の後ろに流すように倒す。
背後から襲ってくる卑怯な奴には裏拳をお見舞いして、まだしぶとく立ち上がってきた一人には大サービスで後ろ回し蹴りでフィニッシュ…。
5人もいたはずの敵は1分足らずで教室の床に転がる肉塊となった。
っていうのは大ゲサで、彼女たちは尻尾を巻いて教室から逃げていった。
「お、覚えてなさいっ!」
そんな古くさい捨て台詞、もうドラマでも聞かないって。
まあ、あたしが本気を出せばあるいはこんなものじゃ済まないけどね。
あたしは制服のスカートをパンパンと払って、改めて生徒会室に向かった。
何事もなかったかのように、呼吸を落ち着けて冷静を装う。
大丈夫、あたしはこんなことくらいじゃ傷つかない。
この学校で安全なのは生徒会室か貴臣の隣ぐらいだ。
そして貴臣と一緒にいる以上、自分の身は自分で守るしかないのだ。
このくらい強くなければ、貴臣とは一緒にいられない。
まだ足りないくらいだ。
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