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「神谷君。今日はこのあと大丈夫?」
「え?ちょっと待って下さい」
急いで、予定をみるとなにも入っていなかった。
「大丈夫ですよ」
「じゃあさ、僕の家においで?一緒に飲もっか」
「はい」
「神谷君さ、みんなに隠してる事ない?」
「え…?」
ピクリと、反応してしまった。
なんでこの人はこうも鋭いかな…
「なんかさぁ、このごろおかしいなぁって。あ、違ったらごめんね?」
「……」
謝っているけど、探りの手は緩めようと思っていなさそうだ…
「…言ってくれないかな?」
「俺はッ…俺…記憶障害があるって言われて…。半年後には、全部忘れるって…」
遊佐さんはとても驚いた顔をしていた。
ここまで深刻な話だと思っていなかったんだろう。
「…その事、小野君には言ったの?」
「いや…。言いたくはないんです。小野君には…」
「そっか…。その気持ちは分からないでもないけど…」
「だから…その…」
「言わないよ。話してくれたしね。なにかあったら僕に言って?できる事なら手伝ってあげる」
ま、今日の事を神谷君が覚えてるかどうかだけど…
そう遊佐さんに言われた。
「はい…あの…じゃあ…」
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