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「神谷さん痩せました?」
「そう?小野君が太ったからそう見えるんじゃない?」
「神谷さん酷いッ」
一瞬、ビクリとした。
バレるかと思った。あれから記憶はどんどんなくなっていく。
小さな事だとご飯を食べた事を忘れたり、大きな事だと今自分がなにをしているのか忘れたり(それで家に帰れなくなりそうになった)した。
ここ最近の事はまだ記憶にあったりするけど、もう事故前の事は思い出せない。
ストレスも溜まってなにも喉を通らない。
最悪の時は遊佐さんに助けてもらう。そんな生活を続けていた。
「やっぱり痩せてますって。」
後ろから抱き締められながら、言われる。
「いいじゃんかどっちでも。小野君には関係ないでしょ?」
「えーだって抱き心地が…」
「だまれ」
「なんでですかぁ」
他愛のない会話。これももうおしまいかなぁ…
「ちょっと小野君、離して」
「え?あ、はい」
とりあえず小野君に離してもらってパソコンの前に向かう。
「またパソコンですか?俺というものがありながらなんでエロゲなん…「してないわッ」」
「そうなんですか?」
「さすがにしない。」
「じゃ、なにしてんですか?」
「内緒。」
「やっぱり…」
「あーもう!煩いッ。してないからッ。」
小野君に何をしているかなんて言えない。
知られたら意味がないからね。
隣りで打ちひしがれている小野君を無視してずっとパソコンに向かっていた。
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