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「よし…」
あれから小野君が帰ったあとも俺は打つのを続けた。
そしてやっと出来上がった。
「もう…か…」
これから失っていくのは小野君と過ごした記憶ばかりだろう。
小野君との思い出を失いながら小野君と過ごす。
そんな事はできない。
だから…
ケータイを取り出し発信履歴の一番上の番号に電話をかける。
「もしもし…今から会えますか?」
「こんなに早いとはね…」
「そうでもないですよ…自分の中では…」
「まぁ…仕方ないか。で、どうしたの?」
「これを…俺の記憶が全部なくなるころ…だから3カ月後に小野君に渡してくれますか?」
そう言って大きめの封筒を渡した。
「これは?」
「遺書…ですかね。」
「そう…。」
「すいません。なにからなにま
で手伝ってもらって…」
「いいんだよ。」
「それじゃ…ありがとうございました。さようなら」
「うん。それじゃあね。」
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