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階段を駆け上り、
電車に入ると同時に
ドアが閉まった。
夏葉「ま…間に合った…」
星夜「大丈夫か?」
夏葉「日野くん足速いよ…」
星夜「運動部ですから」
夏葉「ふふ、そっか」
まだ手に残る星夜の体温に
侵食されないように、
自分を守るので精一杯だった。
星夜「夏葉」
夏葉「ん?」
わたしが降りる駅の前で、
珍しく星夜が話しかけてきた。
星夜「もうすぐ誕生日だろ?」
夏葉「覚えててくれたの?」
星夜「まあね。
前から気になってたんだけど、
なんで冬生まれなのに
“夏葉”なんだよ?」
夏葉「うーん…なんかね、
わたしが生まれた日に
病院の前に狂い咲きした
ひまわりがあったらしくて、
それからつけたみたい」
星夜「へぇ…。
なんかかっこいいな」
夏葉「そう?
タッキーには季節感がない親だ
って言われたよ?」
星夜「それはタッキーが
からかっただけだよ」
夏葉「それはそうだろうけど…。
…わたしね、
狂い咲きって見たことないんだ」
星夜「そりゃオレだってないよ」
夏葉「そうなんだろうけど、
なんか見てみたいじゃない?
だって雪の中にひまわりだよ?」
星夜「確かにな…」
そう言って、
星夜は窓の外を見つめた。
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