坂口翔太

2/5
前へ
/22ページ
次へ
「さて、反撃開始だ」  その声が静まりかえった廊下に響いた瞬間、鹿庭は消滅した。文字通り、消えたのである。  胸に突き刺さっていた定規が、カコンと音をたて床に落ちる。 「き、消えた? なんで? どうなったっていうのよ!?」  相棒の突然の消滅に、驚きわめく高松。 「大した事じゃない」  また声が響く。  高松はその声の主を知っている。だが、それは有り得ないはずだった。  奴は、坂口翔太は死んだはずだ。原型も留めず、塵と消えたはず、そう高松は思った。  しかし、耳に入ってくるのは間違いなく翔太の声。  何故? 理解できない、頭が追い付かない。自分は悪い夢でも見ているのだろうか?  考えたが、高松の意識はそこで途切れた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加