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「さて、反撃開始だ」
その声が静まりかえった廊下に響いた瞬間、鹿庭は消滅した。文字通り、消えたのである。
胸に突き刺さっていた定規が、カコンと音をたて床に落ちる。
「き、消えた? なんで? どうなったっていうのよ!?」
相棒の突然の消滅に、驚きわめく高松。
「大した事じゃない」
また声が響く。
高松はその声の主を知っている。だが、それは有り得ないはずだった。
奴は、坂口翔太は死んだはずだ。原型も留めず、塵と消えたはず、そう高松は思った。
しかし、耳に入ってくるのは間違いなく翔太の声。
何故? 理解できない、頭が追い付かない。自分は悪い夢でも見ているのだろうか?
考えたが、高松の意識はそこで途切れた。
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