坂口翔太

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 友理の心は驚愕と疑問で満ちていた。  目の前でいきなり消えた「双頭の波紋」。人間が突然消滅するというこの事象に、ただ戸惑うだけであった。  それと同時に、焦りも感じていた。高松に逃げられたのかも、という悪い予感が頭の中を巡る。  もしその予感が当たっていたら、仇を討つ絶好の機会を逃したことになる。  友理は唇を噛み締めた。 「随分と、ご機嫌斜めのようだな」  友理はぎょっとした。  ふと景色が揺れたと思うと、その揺れの中に段々と人影が見えてくる。少しずつ、しかし確実に、その人影はよりはっきりとしたものとなってくる。  翔太であった。  その姿はいまだにぼやけているが、そう判断できるくらいは明確に見ることが出来る。 「坂口……!」 「地獄の底から舞い戻って来た、とでも言うべきかな?」  翔太はくっくっくと笑いを漏らした。揺れは無くなり、その姿は既に元のそれに戻っていた。 「高松さんを何処にやったの? 答えによっては、承知しないよ」  友理がドスのきいた声で聞く。 「殺した、跡形も無いほどバラバラにしてやったのさ」  友理の顔が蒼白になる。自分が討つべき仇を、獲物を、奪われた。全く無関係の人間に。  憤怒、焦燥、歓喜、憎悪、後悔。  様々な感情が友理の心を駆け巡る。だが、最も気になる事は、他にあった。 「坂口、一つ聞かせて」 「何だ」  友理は一度深呼吸をし、言い放った。 「なんで全裸なの?」  全裸の坂口は、教壇の上で高らかに笑った。  最終決着は近い……。
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