坂口翔太

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「ハナタマラハタヤラハカタヤハタマヤハカタヤハカタ!」  全裸の翔太が、意味不明な呪文を唱え始めた。  それを阻止せんと跳躍する友理。 「させないっ!」  そして、翔太の頭に剣を振り下ろす。だが翔太の剣がそれを防ぐ。 「アナハラヤマタナハサカナヤマタナハナカナヤラナタ」  呪文はどんどん進んでいく。 「ラヤナチカナハサカナヤマナタナタナタニハタナハタ」  翔太の周りに群青色の光がたちこめる。 「この呪文は!?」  友理がとっさに距離を取る。翔太の口からは、いまだ呪文が発せられ続けている。 「タナハナタハナタハナタハナタハナタハタヒタハタハ」 「こんな長い詠唱、聞いたことない……!」  友理はまた跳躍した。腰だめに剣を構え、渾身の刺突を翔太に放つ。 「ほぁたぁっ!」  だが、斬ったのは空気のみ。翔太は、一瞬のうちに友理の背後に回りこんでいた。 「タナマハナタアカサハナ・スミダ!」  翔太の呪文が、いま完成した。 「終りだ、山崎さん」  友理の表情が歪む。  翔太は右腕を高く振り上げた。 「いでよ! 宇宙魔法、猶原の怒り!」  翔太の咆吼と共に教室が、校舎が、姫路市が、地球が、そして宇宙が、震えた。 「全てが無に帰する時が来たのだ! 生きとし生ける者達よ、我が前にひれ伏すがいい!」  その刹那、世界は、消滅した。
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