エピローグ――死神――

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 ここは、全てを『無』が支配する世界、タカヤマ。  そこに一人の男がいた。  黒いマントで全身を覆い、顔には白銀の仮面が口から上を隠している。背中には、身の丈の倍ほどもある鎌を抱えている。 「一応、警告しておいたのだが……無理だったか」  男はポツリと呟いた。 「あの少年は、数少ない適性者の一人だったのにな……」  仮面の奥の碧眼が光る。 「過ぎたる力は、我が身を滅ぼす。風は船を導き、又覆す。水は船を浮かし、又飲み込み沈める」  男の前に一つの光球が浮かび上がる。 「私は死神。生と死を司る者」  男は光球だけを残し、消えていった。  光球は爆発し、森羅万象を形成する。  新たな世界は、たった今誕生したのである。 ──完
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