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ジーコの定規は、翔太の脳天に深々と突き刺さっていた。二十センチ程あるアルミ製の定規は、その半分を翔太の頭に埋めている。
異様な光景であった。頭頂部に定規が突き刺さっているにも関わらず、当の翔太は、定規を振り抜いたままの姿勢で、平然と、そこに立っている。勝利を確信した、不敵な笑みまで浮かべて。
「あ、あぁ……」
友理が恐怖と絶望に満ちた声を漏らした。悲鳴と呼ぶには、あまりにも弱々しい声。
全身が震え、最大まで見開かれた目は、瞬き一つ出来ないでいた。
友理だけではない。六組の女子全員が、友理と同様の反応をしている。
「い、ぃゃ……」
ジーコの姿は、普通の人間がまともに見れるものではなかった。
翔太に定規を突き刺したままの状態のジーコの体は、首から上が無かった。体から欠けた頭は、飛んだ勢いと共に、五組の前の廊下ヘと転がっていった。
「クックック……、ハーッハッハッハ!!!」
翔太の高らかな笑い声が静寂で満たされた教室に響く。
「ハーッハッハッハハーッハッハッハグッ…ゴホッゴホッゴホッ!!!」
むせた。
「ゴホンッ……さて、次は誰にしよう」
頭から定規を抜きながら、ジーコの体を蹴り飛ばしす翔太。顔のない死体が教室の隅に飛んで行き、落ちた。
翔太には、既に死んでいるジーコなど眼中に無かった。それよりも、閉められた廊下側の窓ごしに現れた人影を、怪訝な表情で様子を窺っている。
その刹那、窓ガラスをぶち破り、一つの丸いものが弾丸のごとくスピードで向かってきた。
破られた窓の側にいた岸本と津田は、とっさに飛び退いた。
一方、ジーコの頭は翔太に一刀両断され、友理の前に散らばった。しかし、友理は気にも留めない。
「高松さん……鹿庭さん……」
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