大好きのかたち…

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 文句は言うけど本気ではないから、結局はいいんだと思う。 「おやすみ、サーシャ……」 「ゴロゴロゴロ……にゃぁ」 (おやすみなさい、ご主人さま)  僕は今日変な夢を見た。  僕とご主人さまが並んで歩いていると、目の前のほうから眩しい光が差し込んできて、目がちかちかするから思いっきり目をつぶった。 光がだんだん和らいでいって、そおっと開いてみると、周りには何もなくて、隣にいたはずのご主人さまもいなくて……。  不安になって鳴いてみたんだけど、僕の声は聞こえなくて、なんか、体がふわって軽くなったみたいになって……でも、そこで夢が終わっちゃったんだ。  目が覚めて、起き上がるとご主人さまのベットの中で、でも本人はいなくてもう学校に行ったんだってわかった。 (あの夢、なんなんだろう……)  考えるのはあんまり好きじゃないから、気にしないことにした。  ご主人さまは僕の朝御飯の準備をしててくれて、それがまた嬉しくて、ますますご主人さまが大好きになった。  ご飯を食べた後の毛繕いをする。 猫にとって朝の身だしなみは大切だから。これは誰に教わったとかじゃなく、本能がそうしろって言ってるみたいに毛がゾワゾワするんだ。  毛繕いの最中で、首回りをなめていると何かにしたが引っ掛かった。 見てみると、それは紅いもので。前のほうに丸い球が付いていた。 (あ……!)  それは、昨日ご主人さまが僕がご主人さまのものだってことのしるしって付けてくれたものだった。  前についている丸いものは、僕が動くたびにチリンチリンって音を出してくる。 僕はそれが気に入って部屋中を駆け回った。  何時間かそうしていると、飽きてきちゃったのと疲れてきちゃったのとで、眠たくなってきた。 僕は、いつもお昼寝するお気に入りの場所に行って、お昼寝をした。  ご主人さまが「外に出てもいいよ」って言ってたけど、僕にはまだ怖くて出てみる勇気がなかった。  
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