愛の言葉

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「大好き」とか「愛してる」とか そんな言葉は簡単すぎて、軽すぎて、いつまで経っても君へ伝えることが出来なくて。 一言、「愛してる」と言えばいいのかもしれない。 だけど僕には、その一言を口にすることが出来ない。 君を見ていると、自然と顔が笑顔になって、「あぁ、好きだな」なんて思うけれど、やっぱり口には出来なかった。 君はよく、「私のことどう思ってるの?」って聞いてきたよね。 もちろん、君のことは大好きで、大事な人なんだ。 でも、僕は笑ってごまかして、君のほっぺに一つキスをする。 それが僕の今の唯一の愛情表現。 それだけでも、怒っていた君の顔がうれしそうになる。 そして君は、「しょうがないな」何て言いながら許してくれる。 君にはわかっているのだろうか。 僕にとって、愛の言葉は軽いものだと言うことを。 何も言わない。そんな君も大好きだ。 でもやっぱり愛の言葉は軽すぎて、君へ伝えるにはとてもそんな気がしなくて。 君への想いはそんなものじゃなくて。   目を閉じれば、まぶたの裏には君の笑顔。 どこにいても何をしていても、考えるのは君のことばかり。 「何をしているのかな?」「もう寝ちゃったのかな?」 離れていても君は僕を夢中にさせてくれる。 君の声も言葉も行動も表情も、全部が全部僕の中に入ってくる。 そんな君が大好き。 でも、君に伝えるのは 「愛してる」とか、そんなありきたりで、軽々しい言葉じゃなくて。 君にぴったりの言葉、僕が君に伝えたい言葉はたった一言。   「愛おしい」  
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