変化していく心

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「宮内…宮内!!」 「ん…」 大きく肩を揺すられ、目を開く。 するとそこには切羽詰った表情をした新井が映っていた。そんな新井をみつめながら、俺はポツリと… 「お…そ…いよ」 今にも泣きそうなか細い声で、唇をぎゅっと噛む。 「わりぃ。今さっき学校について、携帯はサイレントモードにしてて気付かなかった」 「ありえ…ない…こんな時こそマナーモードだろ…」 「悪かった。でもな…お前も悪い。どこの女子トイレかわからなくて探しまくったぞ」 「あ…ご…ごめん」 「まぁ無事みつけたからいいけど」 「……」 寒い…服が湿って肌にはりつく。 気持ち悪い… 「しかしびしょ濡れだな。今は何月だ?」 「11月…」 「水遊びにしちゃ、季節違うぜ」 「……」 本気で言っているのだろうか?いや違う。わざとちゃかして場を少しでも明るくさせようとしているんだ。でも今の俺にとってそれは苛立ちに触れるだけだった。 「水遊びなんて自分からするわけないだろ!?」 「っ…」 「……」 あぁ…ヒステリックな声を上げてしまった。 でも俺は悪くない。こんな状況でからかう言い方をする新井が悪いんだ。 「…悪い。気、悪くしたなら謝る。ただ俺は元気ないお前を少しでも笑ってほし…いや、悪かった…」 「…ううん、俺…“私”も怒鳴って悪かった…よ」 「?私」 「な…なんだ……なに、よ」 女が私って言って悪いのか?俺…いや私は新井を睨む。 「どうしたんだ急に。気持ち悪い」 「な!?」 気持ち悪い!?今、気持ち悪いっていったかこいつ。 「宮内らしくない。どうしたんだ急に。あと無理に私なんていうな」 「……だろ」 「?」 「俺女って痛いだろ!だから私っていったのに、なんだよ気持ち悪いって!ならなんていえばいいんだよ!!」 「お、落ち着けよ。俺は別に痛いっておもってな…」 「嘘だ!本当はこいつ、痛い奴だって思ってるんだろ。俺だって…俺っていいたい…でも!」 “俺女とかマジ痛いんだけど” 女子達の言葉が胸に刺さる。 そうだよ。男なら女らしい女の方が好きだ。男らしい女なんて…まして俺なんて… 「…宮内」 「……」 「俺はお前がどんなのだって受け入れてるつもりだ。宮内は宮内らしくしてる方が俺は好きだよ」 新井の手が、濡れた俺の肩を軽く掴む。
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