五条セツナの【感情】

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「イレイサー……消しゴムですか?」  和英辞典開いたらその類だろうさ。 「違うねお嬢ちゃん。イレイサーってのはね、【概念】を喰う者達の通称さ。地方によって様々だけどね……んまぁ、常識的に考えるとイレイサーが適切だよ」  常識的に考えてもそうはならんだろ。 「消失者とか逸脱する者とか、呼び名は数あれど、イレイサーと僕は読んでる」 「結局のところ、名前なんて重要じゃないんだろ、お前からしてみれば」 「嫌だなカヲラ君、名前は重要だよ? 名前が決まった瞬間、その人の人生が決まっちゃうんだからさ」  重い重い。確かに親は子に、思いを託して名前をつけるというけど、その思いが重いよ。 「そうかい。じゃあ俺の今後でも当ててもらおうか?」 「カヲラ君ねぇ……名前にヲが付く人は……もうすぐ死ぬんじゃないかな?」 「適当すぎんだろ!!」 「そうね、今にも死にそうな人の顔をしてるわねカヲラ君」 「謝れ!! 今にも死にそうな人達に謝れ!!」 「そんなことよりさぁ、話を戻すよ? カヲラ君に付き合ってたら日が暮れちゃうからね」 「人の生死をそんなことっていうなよ」 「良いじゃないカヲラ君。貴方は死ぬのが特技なんだから。そんな特技を持った人、世界を捜さなくても貴方しかいないわ」 「……せめて捜す努力をしてください」 「嫌よ。貴方みたいなゴキブリを遥かに陵駕する、ウィルスに感染したゾンビ並の生命力を持った人を捜すの。気持ちが悪くなるじゃない」 「俺はDウィルスになんかにかかっちゃいないよ!!」 「Dウィルス? 勘違いしてるみたいだから言うけれど、私はバイオハザードで例えたのよ?」  知ってます!! むしろそれ以外に思い付きません!!
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