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私は気が付くと
暗闇の中にいた
自分以外何も見えない
…何故か自分だけははっきりと見ることが出来た
……カツ…
音のした方に振り返る
何も見えなかった
だがそこに何かがいるのが
分かった
『誰かいるの』
「ふふっ」
『誰!?、誰なの』
「貴方の運命」
『運命…?』
「そして、もう一人の貴方でもある」
『もう一人の、私?』
「私が見えないのは、運命は見えるものではないから…でも、もう一人の貴方でもあるから存在はしている」
『私に私自身が見えるのは何故?』
「運命=未来でもある、そして貴方は現在にある…現在=現実だから、貴方には自分が見える」
『一つ聞いてもいいかしら』
「……」
声は聞こえなかったが頷いているような気がしたので私は言葉を続けた
『運命は、変えられるの?』
「それは分からない」
『何故!?、貴方は私の運命なんでしょう』
「そうだけど、変えたと思ってる運命が最初からそうなることが決まっていたら?」
『でも、貴方には分かるんでしょ』
「…分からないの」
『………』
予想外の言葉に私は言葉が続かなかった
「私から貴方は見える、でも私も貴方と同じで私が見えないの…だから私にも運命は分からない」
『そう…なんだ。』
しばらくの沈黙が続いた
『じゃあ、運命は変わっていないのかもしれない?』
「うん…でも確かに存在はしている」
『…運命は変えられない。いっそそう割り切れたらどれだけいいか』
「でも、変わっているかも分からない運命に足掻いているからこそ…」
『現在に在り、現実を生きていられる』
「自分が見えるって素敵なことよ。自分が見えないのはとても不安…貴方だけが私の証明になる」
『もう一人の私だから…』
「そうね、だから貴方=私=現実。」
『それって、私=貴方=運命も同じ意味になるよね?』
「えぇ、だから貴方=運命でもある。どういう意味になるかわかる?」
『私自身も運命てことだから……』
「運命は貴方しだい」
『いぃえ、もう一つ考えられるわ。私も運命の一部でしかないのかもしれない』
「運命に翻弄されてるのね…」
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