新しい人生を作る時

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お正月が明けてまた私はケアマネージャーの勉強をしながら、障害者施設に通った 人懐っこいみっちゃんが私にみかんをもってきてくれた 『梓ちゃん、私ねこんなこと出来るようになったんだよ』と動かない左半身の指をくいくい動かした 『みっちゃんすごい!どうしたの?練習したの?』 『うん、お正月の間に親戚の人達と練習したんだ』 『そんな短期間で頑張ったんならきっと動くわよ』 『去年ここに入って来た男の人覚えてる?』 『いつも機嫌悪かった人ね』 『メル友さんなんだ、毎日励ましメールくれたから頑張れた』 あの人そんな優しいところあるんだ…ぶっきらぼうで無口なのに みっちゃんはきっと彼が好きなのかもしれない 彼もみっちゃんは気になる存在なんだ 私は昼休みにお弁当の後、みっちゃんにもらったみかんを食べた それは甘酸っぱくて、太陽の味がした
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