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「もう一度言う。テメェは誰だ?」
「あんたに名乗るほどの者じゃねぇよ、独眼竜」
「…んだと?」
また二人の間の更火花の勢いが強くなった。
やはり相性最悪なのであろう。
黒羽が武器を構えようとした時、立ちふさがるように白狼が現れた。
「黒羽!また貴方は…!」
「白狼!お前まで…」
「…次々と現れて…何なんだテメェ等は」
白狼は仕方ない様子で答えた。
「簡単に言えば真田の者です!今は急ぎの用があります故、失礼させていただきます、御免!」
そう白狼が言うと、煙玉を撒き散らした。
煙が薄くなると、三人はいなくなっていた。
「…小十郎。アイツ等何なんだ?」
「さぁ…先ほどの話は本当のことか…」
「伝令!伝令ーーー!」
唖然としている政宗達の元に、伝令兵がやってきた。
「Ah?どうした?」
「た…たった今、豊臣がこちらへ進軍しているとのことです!」
「!!…嘘じゃなかったのか」
「奴ら…何者なのでしょうか?」
「分からねぇ…ただ…」
「政宗様?」
政宗は、幸森を一目見た時に思ったのだ。
『ヤツはただの子供じゃない』と…。
「真田幸森…またいつか世話になりそうだな…」
夜明け近い空を見上げ、政宗は決心した。
「小十郎、引き上げだ。奥州まで突っ走るぞ」
「はっ」
小十郎は何も問わなかった。
分かっていたのだ。今は時ではないということを。
「(何かと…真田には縁があるのか無いのか…)」
そう密かに思う小十郎であった―…。
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