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三人は、木の枝を渡って移動していた。
実はこの三人、小さい頃に忍び並みの移動方法を教えられたのだ。
だが本格的ではなく、少々軽めの事を教えられたので、現在に支障は無いのだ。
「若!明かりが…」
「あそこだね」
三人は木の影に隠れて様子を見た。
陣の周りは賑やかで、宴会みたいなものをしている者達もいた。
「んー…伊達政宗は…何処だ?」
「あそこじゃないか?」
黒羽は、陣の中心辺りにいる二人の人物を指した。
「あぁ、あの左の頬に傷のある…」
「違う、ソイツの隣の、右目に眼帯してるヤツだ。確か『独眼竜』とか言われてた」
「アイツが…」
幸森がジッと中心辺りの人物を見つめる。
その間、白狼は軍の周辺を眺めていた。
「(流石は伊達軍…と言ったところか。守りが万全だ)若、とりあえず様子を見て…って、若?」
白狼は唖然としている。
振り向いた先には、幸森がいなかったのだ。
「…黒羽。若は?」
「あれ、そういえば…」
二人はキョロキョロ探している。
そして顔を合わせ、白狼はハッとする。
「まっ…まさか…」
「そのまさかだ、白狼」
白狼の顔が青ざめ、黒羽は呆れた表情をしている。
「…諦めろ。幸森はあーゆうヤツだ」
「わ…若~…」
二人は黙って軍の中心を見ている。
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