70人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
一方、軍の中心にいる人物…伊達政宗は、次の戦についてを 『竜の右目』腹心の片倉小十郎に相談していたところであった。
「小十郎。皆の様子はどうだ?」
「はっ。特に異常はありません。明朝には出陣できます」
「そうか、Thank You♪腕がたぎるぜ」
「真田幸村…ですか」
小十郎は政宗の考えをいち早く察した。
それが当たったのか、政宗はニィッと笑う。
「この日をどんなに待ったことか…小十郎、手ぇ出すんじゃねぇぜ」
「御意。しかし無理はなされるな」
「わーってる。オレが絶対に勝って見せるぜ」
『それは分からないよ』
「「!!」」
政宗と小十郎は、咄嗟に後ろを振り返った。
そこには、さっきまで木の影から二人を見ていた真田幸森の姿があった。
「子供!?子供が何故こんな所に…」
「…おいガキ。テメェ何者だ?どうやって入ってきた?」
政宗は幸森に問いかけた。さも当然。
軍の周りには、兵達が見張りをしているはず。それを避けて入るのは不可能に等しい。
その様子を遠くから見ている白狼と黒羽は、ハラハラしながら見ていた。
「(若…!そこで正体を明かしてはいけません!ここは偽って…!)」
「俺は武田軍真田幸村が弟、真田幸森だ」
そうハッキリ言う姿を見て、白狼は愕然としている。
「(わ…若ーーーー!?何故そんな素直に正体を明かすのです!?)」
「(まぁ、ここはおとなしく見てよう)」
黒羽は白狼をなだめて、視線を幸森に戻した。
「真田…幸森ぃ?」
「もしや…『紅蓮の獅子』の異名を持つ…?」
「そう、その真田幸森だ」
幸森の一言に、周りが一斉に騒ぎだした。
「おい聞いたか!?あの『紅蓮の獅子』が、あんな子供だってよ!」
「本当に実在していたとはな…」
「あの子供の何処が強いんだ!?」
「Shut up!!!」
周りが一斉に静まりかえる。
その根源は、伊達政宗その人であった。
政宗は幸森をジッと見つめ、問いかけた。
「幸森…っつったな、なんで真田のヤツが伊達にいるんだよ」
幸森は、ゆっくりと口を開いて答えた。
最初のコメントを投稿しよう!