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[※ヒバツナ・悲恋]
(記憶喪失君喪失)
何を驚いているの?
なんで泣いているの?
目を見開き肩を震わせ、彼は泣いている。
「…どうしたの?」
「…」
彼は何も言わない。
ただ、あまりに顔を歪ませて悲しそうに泣くもんだから、こっちまでもらい泣きしそうだ。
「…なんで、泣いてるの?」
「…れ、るから…あなたが俺を忘れるから…っ!」
…何を…言っているんだろうか…彼は。
「…初めてじゃないか。君と会うの。」
彼の顔が、一気に歪んだ。
その時、ズキッと頭に痛みが走った。
「初めて…なんかじゃありません!俺とあなたは…、なんでもありません…。さようなら!!」
そう言うと彼は走ってどこかに行ってしまった。
頭の痛みは、最高潮。
痛い痛い痛い痛い。
ただ1つ。痛みと共に脳裏に浮かぶは彼の涙。
…あぁそうか。
(涙を流させることしか)
(僕はしなかった気がする。)
(たぶん、だけど。)
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