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「お前が望むのなら、犬のように従順に、紐に縄に鎖に、縛られてやるよ。」
あいつは言う。
「あるいは、子猫のように愛くるしくお前を、指で足で唇で、喜ばせてやるよ。」
あいつは言う。
「どっちが先に溺れただとか、そんなこと、どうでもいいだろ?」
あいつは笑った。
「例えば椿のように、冬に咲けと言うなら、雪に霜に体を、晒して生くよ。」
あいつは言った。
「あるいは、気高い薔薇の散り際が見たいなら、首に髪に香りを、纏わせて逝くよ。」
あいつは言った。
「骨の髄まで染まってもまだ、それだけじゃ、物足りないんだ。」
あいつは笑う。
「お前の為なら
死をも恐くないぜ?」
あぁ愛しのアーサー、
お前のそれは
愛なのか?
否、
歪んでは
いないだろうか。
(しかし)
(それでも俺は)
(お前を愛している。)
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