短編たち

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[※ヒバツナ・ツナ死亡] チクッとした。チリッと、した。 (消さない。消せない。) 「なぁ、雲雀。」 「何。」 「お前、首んとこ虫に刺されてんぞ。」 山本武が指差すところ。 そこは、赤く小さな、アトのような。 「痒くねーのか?」 獄寺隼人が尋ねてくる。 本当、この2人って仲良くなったよね。 あれだけいがみ合ってたのに。(片方が) 「別に痒くないよ。」 「オレ薬あるぜ?」 なんで今持ってるのさ。 だいたい… 「…っ!ひ、雲雀さん…オレも、つける…。」 「わぉ、出来るかい?」 「だってオレばっかつけられてるし…オレも印、つけたいんです。」 真っ赤になってしゃべる綱吉を見て、胸が鳴った。 「つ…ついたぁ!」 やっとの思いでついた印。 そのアトはとても愛しくて、かわいくて…。 胸が、焦げたようだったんだ。 そして、綱吉のつけた印がジンジン痛んだんだ。 「…いらないよ。消すわけにはいかないからね。」 この印は消させない。 「消すわけには、いかない?」 「どういう意味なんだ?」 教えられない。 これは、内緒の印。 「…ただの虫刺され。じゃあね。」 刺された時、チクッとした。 刺されたアト、チリッとした。 (残したアト) (痛くて痛くて) (けど) (消せないんだ。) .
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