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「お嬢様は、笑顔が素敵です。キクにもっと笑った顔を見せて下さいませ」
そんな事を言いながら、頭をさするキクに、私は何度も笑顔を作った。
―キク、私実は渚に裏切られたのよ…お父様やお母様にも。
そんな事を言えたら、どんなに楽か…。
言いたくても言えない状況を作っているのは、自分を責めてしまうであろうキクの事が心配だからだけじゃない。
―ガチャ
「お嬢様、お夕食の準備が出来上がりました」
渚が何も変わらないから。
私に悪びれる事もなく、まるで何もなかったように…。
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