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ケイタが申し訳なさそうに、私を見つめる。
あの日、ケイタはこの場所で深く眠っていた。
木にもたれながら、片手にはお酒を握りしめたまま。
まるで何も悩みがなさそうで、幸せそうに眠るケイタを見て、この場所を離れるのをためらった事を思い出す。
「わたくし…あの日、この場所から離れなければ良かった…」
あのまま、私もこの場所で眠り、朝を迎えられていたのなら、きっと今苦しむ事はなかった。
後悔だけが私を押し潰し、死なせてくれなかったケイタを睨んでしまう。
ケイタを恨んでも意味のない事と分かりながら…それでも誰かに苛立ちを押し付けたかった。
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