薔薇の似合う女

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    渚はどんな想いで、私をこの部屋へ導いたのか。     良い方面で考えれば、渚はここが草野の部屋と知らず、単純に相談場所へと選んだだけ…。   悪い方面で考えれば、渚はここが草野の部屋と分かっていて、私を騙すように導いた…。     「渚!お願い、返事をしてちょうだい!」   「お嬢様…私はここにいます。」     何も見えない暗闇の中、私の肩をソッと叩いたのは、渚だった。   この優しく、か細い手は渚だ。     私の考え過ぎ…。 お父様やお母様が、予想外に私の意見を聞き入れてくれたから、少し過敏になっていただけ。    
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