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「草野はどこへ?」
「草野様は、先程お帰りになられました。」
この部屋へ来たのは、やはり渚が何か思い詰めているからだ。
暗すぎて、渚の顔が見えない。
優しく、か細い手が、渚の存在を知らせてくれるだけ…。
「渚、電気を付けてあなたの顔を見たいわ。」
先程から震えた渚の声は、どんどん勢いを増し、渚の手までも震え上がらせている。
その振動が、私の手にまで伝わり、早く渚を包んであげたい―そう心を焦らせた。
「電気はそのままでお聞き下さい…。」
「分かったわ、そのかわりあなたを抱き締めさせて…あなたの恐怖や迷いを、私が鎮めてあげたいわ」
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