薔薇の似合う女

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    始まりは優しいキスだった。 深く、私を無にさせ、渚だけを見つめさせてくれるようなキス。   渚の手は、いつものように、私の中へと入り込む。   まるで声を出すのを止められているように、重ねた唇は、離れようとしなかった。     「なぎ…さ…あなたが…好…き」     この瞬間、私は気付いた。 何の為に結婚したくないのか…。   私は渚を愛してるから…。 恋をした事のない私は、こんな場所で、渚への気持ちに気付いてしまった。     いつもより、激しく、身体だけではなく、胸の奥まで突き刺すようなこの感覚は、渚も私と同じ気持ちでいてくれてる証拠なの…?     私は渚のキスと優しくか細い手で、いつもの倍、幸せを噛み締めていた。    
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