籠の鳥

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   渚(なぎさ)とは、私が唯一心を許せる相手だ。 私と同じ20歳で、物心ついた時から常に一緒だった。     「お帰り、渚。今日はどんなお話聞かせてくれるのかしら」        渚は私の知らない世界を知っている。 目と鼻の先にある街を、私は一度も歩いた事はない。 そんな街を渚は毎日歩いているのだ。 勿論それは屋敷での仕事の一つだが、私にとってそれは何よりも羨ましい事。       「お嬢様は本当にお話が好きでいらっしゃいますね、キクさん飲み物を少し頂けますか」       ───渚はどんなお話をしてくれるのかしら。
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