薔薇の似合う女

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  どれだけ洗っても、私の身体に流れ着いた草野が、いつまで経っても消えてなくならない…   身体の痛みより、心が痛い。   私はただ、好きでもない相手と結婚なんてしたくなかっただけ…   私は本当にお母様とお父様の子供なの?   お願い… 誰か私が産まれた意味を教えて。       ―身体も綺麗になり、赤くなった手首の手錠の跡もなくなった。 渚の手の感触も、草野に抱かれた形跡も全て消えた。   私の望みも消え失せ、残った物は孤独と人形のような身体だけ。    
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