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草野はあれ以来、屋敷へ来てはいない。
一ヶ月経っても現れないのは、私と顔を合わせずらいからなのか…。
ううん、草野の事だ。
きっと私が自分の物になったと勘違いして、屋敷へ通う事が面倒になっただけにちがいない。
「お嬢様?何かお考え事ですか?」
ボーッと窓の外を見つめていた私に、キクは心配そうに呟いた。
キクに草野の事は話していない。
もしあの日の事を話したら、キクは心配と同時に、あの日自分が帰ってしまった事を後悔し、自分を責め続けるだろう。
「外の風が気持ちいい事を感じていただけよ」
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