風の便り

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    ―こんなにも広い部屋で、私は一人。 孤独とは、今の私にぴったりの言葉。     このまま朝が来て、また何もなかったかのように渚と言葉を交わす。   何も知らないキクに、紅茶を入れてもらい、キクが見たいと言う笑顔を、無理矢理作る。   考えただけで、このまま朝が来なければいいとさえ願ってしまう。   静かな夜は、私の心を不安定にさせる。 心をざわつかせ、嫌でも草野の姿を思い出させる。     こんな思いをするなら…いっそのこと死にたい。  
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