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気付いたら、屋敷を出ていた。
裸足のまま、警備に見付からぬよう裏から屋敷を出て、無我夢中で走っていた。
行き先なんてどこでも良かった。
ただ、逃げて、逃げて。
屋敷という、籠。
草野という、悪魔。
渚という、ピエロ。
その全てから逃げたかった。
走って、走って。
口の中は鉄の味がした。
風邪を心地良いと感じる事が出来ず、額からは汗が流れていた。
町の人達の視線に見向きもせず、ただひたすら走る。
気付けば、ケイタと最後に別れた、あの池に辿り着いていた。
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