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ある国で傷害事件があった。
だが、死者は誰1人としていなかった―――
その報告をうけた、ある国の若き国王ヨハネス。
18歳にして父を亡くし、兄のミヒャエルは国王になるのを拒否した。それは母の元で、魔術を学ぶ為だ。
「襲われた者は、若い女にやられまして、ですが、誰1人としてその女を倒すことができなかったそうです。
不思議なことに、死者はいないのですよ。金品も盗られていません。
一体、何の為にやったんでしょうね?」
「分からん。
襲われた者共は逆に、その女を襲っていないのか?」
「襲っていないそうですよ。“襲ってなど…!”だそうです。
奴等の言葉は全く信頼できません、陛下…!」
執事、ケプラーが言った。
確かに。
若い女に襲われた奴等は、金持ちでボディーガードを必要としている。
10人ほどを1人で倒した若い女なら、ぴったりだろう。
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