※お湯を注いで3分※

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それは冬の寒い夜だった 俺… 芹沢優哉は“黄金時間”を楽しんでいた それは人間の五感を刺激し、私生活の中で唯一“生存意義”らしきものを感じる時間 その時間は3分 この時間がものすごく …たまらない その黄金時間を生み出す奇跡の食物 人はそれを… 『インスタントラーメン』 と呼ぶ 日本が産み出した奇跡の食物 見た目、匂い、感触、音 …そして“味” 優哉『…そろそろだな』 時は来た 湯気はフタを開け、食べろと言わんばかりの香りを放つ 俺は静かに付属のフォークを装備する 優哉『ふふふ…』 優哉『あはははは』 世はまさに!! 大インスタント時代!! 俺はフタを開けた 立ち上る湯気…が無い 優哉『…あ?』 優哉『…見間違いか?』 俺は激しく目を擦る …間違いない ラーメンが入ってない 優哉『なぜだ…』 優哉『なぜ…』 優哉『確かに存在していた…』 優哉『麺、肉、エビ、玉子…それぞれが強調しそれぞれが全てを引き立てていた』 優哉『ラーメン…』 優哉『俺のラーメン…』 優哉『らあぁめぇんんん!』 優哉『誰だ…』 優哉『誰だよ…ラーメン盗んだヤツ!』 優哉『返せ、返せよおおおお!!』 少女『…全く』 少女『人間は喧しいな』 優哉『…………?』 優哉『んっ、…?』 優哉『気のせいか?』 優哉『…………?』 優哉『いや、…気のせいじゃない』 少女『なんだ、貴様』 少女『その汚らわしい目で私を見るな』 少女『気持ち悪い』 なぜか… なぜか目の前に 裸の少女が立っている …なんかのフラグか? …空腹の幻想? ドンドン!! 隣の皐月がドアを叩く 皐月『ちょっとユウ!』 皐月『何かあったの?大丈夫!?』 皐月『ねぇ、ユウ!!』 皐月の声も聞こえやしない 目の前のインパクトがデカ過ぎるから 優哉『いかん…』 優哉『俺はどうすればいい?』
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