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気がつくと、保健室のベッドで寝ていた。
手に違和感を感じて、横を見ると、
「!」
3年の先輩が手を握っていた。
…この人、知ってる。
佐伯潤先輩。
後輩の間で、かっこいいって有名な人。
「…ぅん?あ、起きた?衣羽ちゃん!」
横に座っていた先輩が、あたしに声をかけた。
「あ、はい。えと、先輩があたしをココまで?」
「うん。ていうか、ボールぶつけちゃったの、俺なんだ。本当ごめんね?反省してる!」
あたしの握った手を先輩は自分のオデコにくっつけて、目をぎゅっと瞑り謝った。
「いや、そんな!事故なんですから、仕方ないですよ?そんな謝らないで下さい!」
「ん。本当ごめんね?衣羽ちゃん…」
目を少し潤ませてあたしを見つめる先輩に、あたしの胸は音を発てて反応する。
何て言うか、母性本能擽る顔だ。
かっこいいじゃなくて、可愛いだ。
「大丈夫です。そんなに罪悪感感じなくても。」
ふふ、と笑うと先輩もにかって笑った。
一瞬にして、心を掴まれた。
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