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その日をきっかけにあたしは先輩と少し親しくなった。 廊下ですれ違えば、話をしたし、一緒に笑った。 先輩に惹かれていってんのは、嫌でも解った。 卒業式の日、大泣きするあたしに先輩は苦笑しながら 「衣羽ちゃん、はいあげる。」 と、手渡されたものは、 「ボタン…?いいんですか、あたし貰って?」 学生服のボタンだった。 先輩人気だから、絶対貰えないと諦めていたのに… 「衣羽ちゃんだから、あげるの!だから、受験頑張るんだぞ!」 頭をくしゃっと撫でて、いつもみたいに、にかっと笑った。 「先輩…ありがとうございます。頑張ります、あたし…」 精一杯に笑って、先輩の旅立ちを見送った。 あのボタンは今でもあたしのお守り。 _
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