君の隣 2

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俯き気味だった顔が、こちらを窺うように遠慮がちに上がった。 やっぱりその瞳は、今にでも溢れんばかりの水を含んでいた。 (そういえば最近、泣いてるとこ見てない気がする。) いつ以来かな…。 思い浮かぶのは幼い顔の彼。 その侠ちゃんが目を細める。 眩しい、かな?逆光で。 (わざとだなんて、貴方は考えもしないのかな。) この計画は、俺が平然と見えなきゃ意味がない。 だから逆光を使って表情も顔色も見えないようにした。 ま、ここまでしなくったって、鈍いアンタぐらい騙せる自信あったけどね。 これでも一応。 劇団ん中じゃ期待の大型新人俳優って言われてたんだから。 でも変なとこで鋭いから、貴方。 念には念を。 (あぁ、あと少し…あと少しで夢が叶うとこだったのに) ……さて、と。 最愛の貴方に、最悪をしてあげる。 .
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