君の隣 1

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「俺さ、幸せ過ぎるの嫌いなんだ」 (えっ…) 目を見開いて、固まった。 「侠ちゃんと付き合ったのだって、なんとなくだしね」 …そっか。 なんだ、そうだったのか。 俺は1人で両思いだと勘違いをして、1人で浮かれてただけなのか。 「それにさ」 なんでだろ。 “聞くな!”って、本能が危険信号を出してる。 なのに何もしない俺はただの馬鹿。 「俺やっぱり、女がいいや」 脳天を重く固い鈍器で殴られたような、そんな衝撃。 真っ黒になる視界。 真っ白になる頭の中。 途切れそうになる意識を繋ぎとめきれない。 ズボンの上から足をつねる。 (痛、い…) 痛みが、これが現実のものだということを表している。 「俺の部屋にある物、送っとくから」 もう、部屋に行くことすら許されないんだね。 「じゃ、バイバイ、侠佳さん」 別れの言葉ですら素っ気ない。 らしいけど。 .
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